リプレイ・ドロップ
雨宿町後追~稲妻をつかまえて~
その2・ハミングにて
メイン 見学
PC1:"影追い"石神井 寅彦(キャラシート)PL:めかぶ
GM:さささ
目次
プリプレイ
GM:では、セッションを始めていきます。
GM:まずはざっくりPC紹介から。
GM:今回はなんとおひとりです。石神井さんどうぞ。
キャラシート

石神井 寅彦:はい!おひとりさまの石神井寅彦(しゃくじい・とらひこ)です。コードネームは《影追い》。
石神井 寅彦:25歳・男。UGNエージェント。エージェントをしていない時は占い師の仕事をしています。
GM:占い師だぞ
石神井 寅彦:といっても未来視などの特殊な能力があるわけではなく、主に持ち前の話術を駆使して相手の話を聞き出しているようです。
GM:テクニックだ……
石神井 寅彦:一応、自前の能力も補佐的に使用してはいて、香りと影を通じて相手の心に入り込むことができ、特に非オーヴァードに強い効果を放ちます。
石神井 寅彦:無条件に「なんだか懐かしい香りがするなあ」って感じて、心を許してしまうみたいな。
GM:ずるすぎる!
石神井 寅彦:対象が感じているその香りについては、こいつ自身も意識して能力を使用すると分かる感じです。
GM:そうとは……
石神井 寅彦:自分自身は香水つけてるから香水の匂いがするな~って思ってる
GM:ずるい……
石神井 寅彦:シンドロームはウロボロス/ソラリスのRC攻撃型。
石神井 寅彦:イージーで他人の感情を読み取ったり、友達のふりをすることができたり、
石神井 寅彦:あと《止まらずの舌》だったり『Dロイス:記憶探索者』があったり、とにかくコミュニケーションに特化した奴です。
石神井 寅彦:今回はその辺は控えめになりそうだけど、がんばるぞ!以上です。よろしくお願いします!
GM:うおーよろしくお願いします!
GM:なお過去の登場ログはこちら。
『雨宿町怪事件~雷花、はじけた~』
『雨宿町陶酔境~酒涙雨には早すぎる~』
GM:お世話になっております。
石神井 寅彦:こちらこそいつもありがとうございます!
GM:ハンドアウト前に、今回はPC1名なのですが、同行NPCをさくっと紹介させていただきます。
鈴掛 喜一:今回同行しますNPCの鈴掛喜一です。
鈴掛 喜一:"來火=ジェイトーカー"とコードネームがふたつあります。
鈴掛 喜一:詳細は『雨宿町怪事件』の過去ログ参照なのですが、要は現在表に出てるのは雷獣というRBの奇妙な隣人。
鈴掛 喜一:支部員の喜一くんの身体を借りている、來火くんというのが本名です。
鈴掛 喜一:能力的には情報収集がメインで、戦闘力はほぼ皆無。
鈴掛 喜一:普段は『(株)ピカピカ』という便利屋カヴァーの、UGN支部調査部所属です。
鈴掛 喜一:今回も戦闘ができる人にお仕事をお願いする立場。
鈴掛 喜一:よろしくお願いします。
石神井 寅彦:よろしくお願いします!
GM:では、ハンドアウト!
シナリオロイス:雷獣or導入NPC
あなたたちは、UGN雨宿支部に関わるオーヴァードだ。
今日の仕事は、処理部の手伝い。
先日大発生した雷のRB、『雷獣』が町のあちこちで未だ騒動を起こしているようだ。
あなたたちに与えられた任務は、雷獣を探し出し、無事捕獲すること。
張り切ってやってみよう。
GM:ざっくりハンドアウトはこういう感じ。RBの捕獲をお願いします。
石神井 寅彦:はーい
GM:ではトレーラーなどをさくさくっと貼って進めていきますね。
某県雫原市・雨宿町。
昔ながらの町並みと、新興の住宅地とが入り交じる町。
この町には古くから、『あやし』と呼ばれるレネゲイドビーイングが多く住まっていた。
山際に聳える『化生岩』の活性によるあやしたちの増加。
町役場や業者を隠れ蓑とするUGN雨宿支部は、今日も何かと忙しい。
今回は、後始末の物語。
大事件の後も、全てが綺麗に片付くことなどなかなかない。
そんな中で動いている、小さな、しかし大事な仕事の物語だ。
事件の後の始末、というのが俺ら処理部の仕事です。
全部済んだ後だから何もないはず、なんてことは全然なくて……。
大抵は、別の小規模な事件に巻き込まれるばっかりで。はあ。
え、嫌な仕事かって言うと……そんなこともないですね。
面倒の種を先に摘める、えーと、やりがいのある職場です。
ほら、例えばこんな風に、ちっちゃな雷を見つけたりして。
ダブルクロス The 3rd Edition『リプレイ・ドロップ 雨宿町後追〜稲妻をつかまえて〜』
あの、べ、別に言わされて言ってるわけではないですからね!
ほんとですよ!
GM:オープニング前に、ちょっとだけ展開を決めたりとかしましょう。
石神井 寅彦:はあい
GM:同行NPCは決定しているので、ミドルシーンの行き先!
GM:チャートは以下で、RoCなのでもし希望があれば選んでもいいですし、別に足してもOK。
1 駅前・カラオケボックス『キャロル』
2 新市街・マンション『ピニオン雨宿』
3 駅前・焼鳥屋『やきとり かもめ』
4 旧市街・旅館『雁ヶ音』
5 町役場近辺・公共施設『雨宿わくわくホール』
6 商店街・電気店『ヒライデンキ』
7 町役場近辺・喫茶店『オペラ』
8 駅前・ファミリーレストラン『サエズリヤ』
9 旧市街・古着屋『ハミング』
10 新市街・スーパー『サンワトリー』
GM:ということで、希望があればそちらで、なければ1d10お願いします。
石神井 寅彦:どうしようかな…思い出の場所はあえて外したい感
GM:絞ってからダイスでもいいよ!
石神井 寅彦:ここはぜひ、古着屋さんがいいです!
GM:オッケー!
GM:9 旧市街・古着屋『ハミング』
GM:こちらに向かってもらいます。
石神井 寅彦:やったるぜ
GM:ではオープニングから開始します。
オープニング
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を1D10(→ 7)増加 (31 → 38)
【雨宿町・『(株)ピカピカ』・社内】
鈴掛 喜一:「あ、石神井くんだ。もう大体話聞いた?」

【鈴掛喜一・『(株)ピカピカ』営業担当】あるいは【"來火=ジェイトーカー"・UGN雨宿支部調査部員】
鈴掛 喜一:眼帯をした作業着の青年があなたに話しかける。
GM:ここは小さな便利屋のオフィス。
GM:兼・UGN雨宿支部の一施設だ。
石神井 寅彦:「『雷獣』を捕獲しろって話でしょ?」
鈴掛 喜一:「そゆこと。おれのお仲間ね」
鈴掛 喜一:「あちこちに出てるから、ちょっと困ってる人が多いらしくてさあ」
石神井 寅彦:「あなたのお仲間ね」飄々と笑う。黒髪にピアス、柄ネクタイの、なんとなく小洒落た風貌の青年。
GM:あなたは、雷獣についてある程度の知識は持っているだろう。
GM:イタチに似た小さな動物で、機械に潜り込む性質を持つ。
GM:機械が暴走すれば一大事にもなりかねない、ということで、現在支部では捕獲を優先的に進めている。
鈴掛 喜一:「お仲間すよ。もううちに三匹もいるしー」
鈴掛 喜一:「……や、四匹ね。おれも」
石神井 寅彦:「鈴掛家の次男なー」
鈴掛 喜一:「そういう設定になったの?」
石神井 寅彦:「今決めた。おれが」へらへら笑う。
鈴掛 喜一:くつくつ笑っている。
石神井 寅彦:長男が誰かは、暗黙の了解。
石神井 寅彦:「ま、捕獲はぜんぜん大丈夫よ! むしろ、おれなんかもうすっかり慣れてるだろって扱いで」
鈴掛 喜一:「助かるー」
GM:基本的に雷獣の捕獲は、機械に潜ったところを探し、衝撃を与えること。
GM:その後出てきた雷獣は大抵警戒をしているので、軽く戦闘が予測される、程度の仕事だ。
鈴掛 喜一:「おれもねえ、話しかける以外にできりゃいんですけど、まあ役割分担ね」
鈴掛 喜一:「場所はリストがあるから、そこに向かえば良し、って感じ」
石神井 寅彦:「うすうす。こないだ、重点警備してる…病院とかにも回されたし」
石神井 寅彦:「なんとかなるでしょ」気楽な様子。
鈴掛 喜一:「病院はほんとにね。あとインフラ系」
石神井 寅彦:「そうそ。学校とかもねー」
鈴掛 喜一:「……悪気ないんだよって言っても実際騒ぎになっちゃってるんだもんなあ」頭を掻く。
石神井 寅彦:「……」目を細める。
鈴掛 喜一:「まあ、だから、守ってやってよ。先に」
石神井 寅彦:「先にね。一緒にね」にやっと笑う。
石神井 寅彦:「それで、今日はどこ行けばいいの? お店系?」
鈴掛 喜一:「いろいろあるけど……ああ、ここかなあ」
鈴掛 喜一:「石神井くんとか知ってるかも。旧市街の方に古着屋あるっしょ」
鈴掛 喜一:「あの、古民家改造したとこ」
石神井 寅彦:「あー! 良いよね、あそこ。好き」
鈴掛 喜一:「おれもー。面白い服いっぱいあるし」
石神井 寅彦:「ほんと? じゃあ仕事さっさと済ませてちょっと見ようよ」
鈴掛 喜一:「そこ、『ハミング』でやっぱり目撃情報があるから、さくっと捕まえに行きましょ」
鈴掛 喜一:「お、いいねいいねー」
石神井 寅彦:「いいでしょー」
石神井 寅彦:「了解でーす。今日はよろしくね!」
鈴掛 喜一:「あいあい。どーもよろしくー」
鈴掛 喜一:ゆるい様子であなたに笑いかける。
石神井 寅彦:それに、いつもみたいに笑って応えつつ。
石神井 寅彦:「ちなみにさ」
鈴掛 喜一:「ん?」
石神井 寅彦:「今日ってどっちの名前で呼べばいい?」
鈴掛 喜一:「んー……」少し視線を上にやって。
鈴掛 喜一:「呼んでくれるならどっちでもいい、けど」
鈴掛 喜一:「わざわざ聞いたってことはさあ」
石神井 寅彦:「うん」
鈴掛 喜一:「來火って呼びたいんだ?」
石神井 寅彦:「……」瞬きしてから、ふっと笑う。
石神井 寅彦:「呼べるなら呼びたいでしょ、そりゃ」
鈴掛 喜一:「じゃ、それで!」
鈴掛 喜一:年齢よりも、どこか幼い表情で笑う。
石神井 寅彦:おっけ、と返しながら、その笑顔を見る。
石神井 寅彦:「(呼べるなら嬉しいし、なにより)」
石神井 寅彦:「(あなたが呼ばれたいって顔してる)」
石神井 寅彦:ちょっと微笑ましく思いつつ、行こうぜと声をかける。
GM:ロイス取得のみできます。
GM:シナリオロイスはどっちでも可ですが、基本的にこのシナリオ人が少ないので
石神井 寅彦:來火くんにロイスをとろ~
GM:サクサク取っちゃうといいよ!
石神井 寅彦:はーい
鈴掛 喜一:わーい
石神井 寅彦:同行者/來火/庇護:〇/隔意/ロイス
來火:というかこっちのがいいかな
來火:庇護られてしまった
石神井 寅彦:あっそうですね
石神井 寅彦:來火くんには庇護なのだ
石神井 寅彦:雷獣にも取っておこう
石神井 寅彦:雷獣/尽力:〇/毛並みやわらかそう/ロイス
石神井 寅彦:これで!
來火:やわらかいよ
GM:はーい
石神井 寅彦:もふりたすぎる
ミドル
GM:まず登場侵蝕をお願いします。
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を1D10(→ 4)増加 (38 → 42)
GM:このシーンではまず判定を行います。
GM:チャートで決定した場所に到着したあなたたちは、雷獣がどこに隠れているかを探さなければなりません。
GM:全員〈知覚〉、任意の〈知識〉、〈交渉〉、任意の〈情報〉のうちいずれかを使用して判定を行ってください。
GM:目標値は8です。
GM:失敗しても話は進みますが、その分クライマックスの際に雷獣が《加速する刻》を使用して先制攻撃を行ってきます。
石神井 寅彦:やーん
GM:また、判定を行うとがんばったので侵蝕が40上昇します。
石神井 寅彦:wwww
GM:なお、同行NPCによってボーナスが少しだけあります。
GM:鈴掛喜一:〈情報:噂話〉判定達成値に+1
GM:今回はこれだ!
石神井 寅彦:おおー!!
來火:がんばー
石神井 寅彦:見ててくれよな來火くん
GM:では技能を選んで判定をどうぞ
石神井 寅彦:では〈情報:噂話〉を選んで判定します!
GM:いけー
石神井 寅彦:コネ使用、固定値+1、ボーナス+1
石神井 寅彦:5dx+2
DoubleCross : (5DX10+2) → 10[1,5,7,7,10]+3[3]+2 → 15
GM:たっか
石神井 寅彦:すごいがんばった
GM:めっちゃ見つけましたね
石神井 寅彦:ばっちりでしたね…
GM:ちっちゃい奴が隠れてたのを見つけたのかも
GM:ということで、先制はなし。ロールをやっていきましょー
石神井 寅彦:いえー!
GM:道中でゆるっと会話しつつ、最終的にお店で雷獣を見つけてもらえれば!
石神井 寅彦:了解です!
【雨宿町旧市街・路上】
GM:時代は様々だが、古くからの家や店が並ぶ一画。
GM:中にはそんな建物を改造して、カフェやギャラリー、店舗としているような場所もある。
GM:目的地の古着屋もそんな一軒だ。あなたたちはそこへ向かっていた。
石神井 寅彦:「お洒落でいいよね、この辺」
石神井 寅彦:「結構、市内からも人来てない?」
來火:「敷居が高いとことそうでないとこの差が大きいけどねー」
來火:「映えるし、写真撮ってる人も見かける」
石神井 寅彦:「見る見る」けらけら笑う。「來火くんは? よく来るの?」
來火:「ん、でも店に入るっつうよりは」
來火:手を右から左に動かす。
來火:「自転車でつーっと」
石神井 寅彦:手と一緒に目が動く。
來火:趣味は町中をサイクリングすることらしい。
石神井 寅彦:「あ、あの。高いやつ持ってるらしいじゃない」
來火:「へっへっへ。元々喜一のだけどね」
來火:「あんまし乗ってなかったのを、おれが勝手に使ってる」
石神井 寅彦:「えー。勝手に?」小首をかしげる。
來火:「こないだちゃんと謝ったって」
來火:「たまーに話せんの」
來火:「お前毎回謝ってんなって言われた」
石神井 寅彦:「そうだよ。鈴掛くんはそんなに気にしてないんじゃない?」
來火:「知ってる」
石神井 寅彦:「知ってるけど」來火くんを見る。
石神井 寅彦:「謝っちゃうんだ」
來火:「そうだよー。そもそもさ」
石神井 寅彦:「うんうん」
來火:「おれが勝手に使ってる、わけだし」自分の胸を軽く小突く。
石神井 寅彦:「なるほどねえ」その様を見る。
石神井 寅彦:「それならさ」
石神井 寅彦:「せっかくだし聞いてもいい? ここだけの話」
來火:「お? 別に良いけど、なんだろ」
石神井 寅彦:「こないだまで、あなたが鈴掛くんのふりをしてた頃はさ」
石神井 寅彦:「あなた自身の気持ちは、どこにあったの? もうすっかり、鈴掛くんとして居ようって感じ?」
來火:「石神井くん、そういうグサーッてやつ得意ね」
石神井 寅彦:「ごめんね、商売柄で」苦笑する。
來火:「んー、いや、なんていうか」
來火:「半分は忘れてた……振りをしてた」
來火:「なんか、このままなかったことになんないかなってね」
來火:「半分はね、そうだな……」
石神井 寅彦:「うん」
來火:「喜一がもし帰ってきた時にさ。おれが全然違う風に振る舞ってたら」
來火:「そしたら困るでしょ?」
石神井 寅彦:「そうね」
來火:「そういうことは思ってた気がするな」
石神井 寅彦:「そっか。考えてあげてたんだね」
來火:「そう言うとなんか、おれがいい奴みたいじゃん?」
石神井 寅彦:「ふふ」笑う。
石神井 寅彦:「そういう風にはされたくないんだ」
來火:「そうだよ。身体も自転車も家も全部盗っちゃったんだからさ」
石神井 寅彦:「悪い言い方すんなよー」
來火:「喜一が戻ってきても、ピカピカだった自転車はもう汚れちゃってるんだよ」
石神井 寅彦:「………んー」
來火:「でも、いや別に乗ってなかったし……って言うんだよ、喜一は」
石神井 寅彦:「優しいのかな、それ」
石神井 寅彦:「來火くん的に悲しくならない?」
來火:「難しいとこなんだよな」
石神井 寅彦:「難しいとこですか」
來火:「おれの大事な自転車を、喜一はそんなでもないし」
來火:「おれが謝っても別にって言う、けど」
石神井 寅彦:「うん」
來火:「でも、えー」
石神井 寅彦:「うんうん」笑いながら続きを待つ。
來火:「喜一的にはさ。俺とおれとは違うだろって言ってくれている、ような気もする」
來火:「それは、ちょっと悲しいよ。でも」
來火:「おんなじくらいには嬉しいね」
石神井 寅彦:「ふふ」
石神井 寅彦:手を伸ばして、ガシッと肩を組む。
石神井 寅彦:「おりゃ!」
來火:「うえ」
來火:「何何」
石神井 寅彦:「したくなった!」
來火:「なんでー」言いながらされるがままだ。
石神井 寅彦:けらけらと笑う。「よしよし。鈴掛喜一くんは、結構素直じゃなさそうね」
來火:「そうね。おれが真似するよりはだいぶ」
來火:(あー、なんかすげー悔しい。こんなんばっかだ)組まれながら。
石神井 寅彦:「まあ、でも。あっちだって許してくれてるんだしさ」
來火:(こんなんばっかで、こっちはなんも聞けないんだよなあ)
石神井 寅彦:「そんな悪い言い方ばっかしてると余計に落ち込んじゃうって」
來火:(……満員電車、だっけ)
來火:「そうかもしんないけどー」肩を揺らす。
石神井 寅彦:「そうだなー」目を細めて、表情を見ている。
石神井 寅彦:「盗るじゃなくてさー。借りてる、とかは?」
來火:(石神井くん的には、やっぱ、こんくらいがいいのかな)
來火:「まあ、正確に言えばそうだけども」
來火:「返す気ではいるよ」
來火:「……自転車もね」
石神井 寅彦:「そういうことじゃねーって」
石神井 寅彦:組んだ肩をぐいっとまた引く。
來火:「ぐえ」
石神井 寅彦:「盗ってんじゃなくて、借りてるだけ」
石神井 寅彦:「それは許されてんだから、大丈夫だって」
來火:「許されてる、か」
來火:ほう、と息を吐く。
石神井 寅彦:「あら、ごめんね。妙な言い方しちゃった?」
來火:「いや」
來火:「なんかさ、これだけはあんまし言いたくなかったんだけどさー」
來火:「ほんとに言いたくなかったんだけどさー」繰り返す。
來火:「大人!!」
來火:「あんたも喜一も!」
石神井 寅彦:「……」
石神井 寅彦:瞬きする。
石神井 寅彦:「そ、そう?」
來火:「そうだよ、おれなんか自分で手一杯だもん」
來火:「それなのにこんな、こんなよ? ちっぽけな雷獣の面倒まで見てくれて」
來火:「ありがとな」にっと笑う。
石神井 寅彦:「あはは!」やっぱりちょっと微笑ましそうな顔になる。
石神井 寅彦:「いいよ、別に。面倒見るんじゃねえって反抗してくれても」
來火:「反抗期はまだなんで……」
石神井 寅彦:「これからくるの?」あはは、と笑う。
來火:「来んのかな。それともすっ飛ばしちゃったのかな」
石神井 寅彦:「いやー、案外、反抗してみたら面白いかもよ」
石神井 寅彦:「鈴掛喜一くんに」にやにや笑う。
來火:「ええー」
石神井 寅彦:「言ってみたら? もう全部おれのものにしてやっかんなーって」
來火:「そこまで反抗はできないっすよ先生ー」
石神井 寅彦:「じゃあどこまでならできんの」笑いながら歩く。
來火:「……自転車」
石神井 寅彦:「ん?」
來火:「たまには、乗りたいから」
石神井 寅彦:「うん」
來火:「時々、ほんのちょっとだけ、身体貸してもらえないかな、とか」
來火:「いや図々しいな……」
石神井 寅彦:「卑屈になんねーの!」
來火:「だっておれ本体、乗れて前カゴだしさあー」
石神井 寅彦:「それはそれでカワイイ」へらへら笑う。
來火:「うるせー」
來火:空を見る。
來火:「もっかい、話せたら話すか」
石神井 寅彦:「うん」
石神井 寅彦:「やりたいこと言いなよ。おれが鈴掛喜一くんだったら」
石神井 寅彦:「そういうの聞くの、嬉しいけどね」
來火:(おれは鈴掛喜一ではないし、鈴掛喜一のこと、わかるようで全然わからないし)
來火:(でも)
來火:「そう言ってもらえんのは、嬉しいすよ」
來火:「おせっかい焼きの誰かが焚きつけたんだぞって、話しちゃお」
石神井 寅彦:「はは。反抗期だ」
GM:まず、侵蝕40上昇をお願いします。
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を40増加 (42 → 82)
GM:ロイス取得と購入判定が可能!
石神井 寅彦:よぉっし
石神井 寅彦:鈴掛喜一くんにロイスを取ろう
GM:おっ
石神井 寅彦:來火くんとは別人扱いでゆるされますか…!?
GM:あ、はい大丈夫です
GM:許します(?)
石神井 寅彦:わ~い
石神井 寅彦:神よ… ちょっと感情を言語化するのでお待ちください
石神井 寅彦:不在/鈴掛喜一/誠意:〇/同調/ロイス
石神井 寅彦:これで取得します!
GM:ほうほう、了解です
クライマックス
GM:登場侵蝕をお願いします。
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を1D10(→ 10)増加 (82 → 92)
石神井 寅彦:ドンッと上がった
GM:おお
【雨宿町旧市街・古着屋『ハミング』】
GM:古い家を改装し、大きな一フロアとして使っている古着屋。
GM:服のジャンルは様々だが、今は商品の物色をしている暇はない。
GM:バチバチと音を立てて、照明器具から一匹の雷獣が降ってくる。
雷獣:「ギュウー!」
石神井 寅彦:「…とりあえずここから見てみるか、でいきなりビンゴすることある?」
來火:「まー、運が良かったということで……」
來火:「ほら、騒ぐと迷惑だからさ……」雷獣に話しかけるが。
雷獣:「ギュイーイー!」
GM:あなたたちを警戒し、恐れている様子だ。
石神井 寅彦:「……話しかける担当、どうですか」
石神井 寅彦:來火くんに言う。「おれにはダメそうに見える」
來火:「あー、ダメっすねー。前途多難です」
來火:「つうことで、頼んだ!」
石神井 寅彦:「あはは。了解!」
雷獣:「ギー!」
GM:その声と共に、バチバチと電気が走り、レネゲイドが励起される。
GM:衝動判定です。意志で目標値9。
石神井 寅彦:6dx+1>=9 意志
DoubleCross : (6DX10+1>=9) → 7[2,2,5,6,6,7]+1 → 8 → 失敗
石神井 寅彦:ぎゃ!
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を2d10(→ 11)増加 (92 → 103)
石神井 寅彦:暴走しました!
GM:おっとー
GM:では、戦闘を開始していきます。
GM:エンゲージは以下の通り。
[雷獣(10)]
|
5m
|
[石神井(6)]
GM:5m離れてます。
GM:來火はNPCカードとして参加。
NPCカード
"來火=ジェイトーカー"鈴掛喜一
『今できることを』
來火が使用者に対してカバーリングを行う。シナリオ1回。
石神井 寅彦:カード名……!
GM:では、1ラウンド目。
■セットアップ■
雷獣:なし
石神井 寅彦:《扇動の香り》。雷獣を対象にした攻撃の命中判定ダイス+2個。
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を5増加 (103 → 108)
■イニシアチブ■
GM:では行動値順に、まずは雷獣の手番。割り込みは判定成功によりなし。
雷獣:キー!
雷獣:マイナー、《雷の加護》ブラックドッグエフェクトを組み合わせた判定のダイス増。
雷獣:メジャー、《雷の槍》《光の手》《コンセントレイト:ブラックドッグ》
雷獣:対象は石神井さんしかいない。
石神井 寅彦:www はい
雷獣:判定します。
雷獣:10dx7+1
DoubleCross : (10DX7+1) → 10[1,3,4,5,5,8,9,10,10,10]+10[3,3,4,6,10]+10[8]+2[2]+1 → 33
石神井 寅彦:暴走リア不!
雷獣:意外といった。
石神井 寅彦:助けて來火くん!
來火:あいよっ
石神井 寅彦:NPCカード『今できることを』使用します。カバーリングして!
來火:石神井さんをカバーリングします。シナリオ1回なのでこれで全部!
雷獣:ギー!
雷獣:ダメージ!
雷獣:4d10+10
DoubleCross : (4D10+10) → 23[4,2,8,9]+10 → 33
雷獣:あっよわめ
石神井 寅彦:ど どうだ
石神井 寅彦:來火くん装甲値20くらいあったりしない?
來火:一応設定HP的には0になりますが
來火:まあ、とりあえず石神井さんへのダメージはカット!
石神井 寅彦:あーーー ありがとう……
GM:では軽く演出を。
雷獣:「ギギギ……」うなり声が高くなる。
雷獣:「ギーイー!」
雷獣:店の照明から一筋、雷がバチバチと音を立てて降ってくる!
石神井 寅彦:その影と自分の影が重なる。目が合う。
石神井 寅彦:隆起するレネゲイドに喚起され、予想だにせず自身の同化能力が沸き起こる。
石神井 寅彦:(ヤバッ)あてられた、と思った。立ち竦む。
來火:「……っと、石神井くん!」
來火:その前に立ちはだかる。
石神井 寅彦:「…っ」
來火:「うわ、うわわわわわ」雷を浴びて少し痙攣。
石神井 寅彦:「うわわわわわ」慌てる。
石神井 寅彦:「ご……ごめん! ほんとにごめん! 大丈夫?!」
來火:「……だっ、大丈夫! 役割分担!」
來火:「……助けられてわりと嬉しいんで、謝んないでよ」
石神井 寅彦:「……、……はは。なんだよ、もう!」
石神井 寅彦:「自分では言えるくせにさ。おっけ!」
GM:では行動値6の石神井さん。
石神井 寅彦:ギー!
石神井 寅彦:マイナーで5m移動。雷獣と同じエンゲージに。
雷獣:ギエー
石神井 寅彦:メジャー。コンボ:『後ろ髪にめくばせ』。
石神井 寅彦:《コンセントレイト:ウロボロス》《無形の影》《シャドースクラッチ》《猛り食らうもの》。雷獣にRC攻撃!
石神井 寅彦:(4+3+3)dx7+2
DoubleCross : (10DX7+2) → 10[3,4,5,5,5,5,7,9,10,10]+10[4,7,7,9]+10[3,7,8]+10[2,8]+5[5]+2 → 47
雷獣:ギッ
石神井 寅彦:な…なかなか!
雷獣:イベイジョンで回避固定値12
雷獣:命中します。ダメージをどうぞ
石神井 寅彦:5d10+12+3D 装甲有効
DoubleCross : (5D10+12+3D6) → 22[2,5,2,3,10]+12+9[1,3,5] → 43
雷獣:キー
石神井 寅彦:ダメージダイスはまあまあでしたが…このようです!
雷獣:落ちます! 復活なし!
石神井 寅彦:石神井 寅彦の侵蝕を11増加 (108 → 119)
石神井 寅彦:ヤッタネ!
GM:戦闘終了。雷獣の捕獲に成功しました。
GM:あなたたちの勝利です。
來火:いえーい
石神井 寅彦:やった~~~!
石神井 寅彦:「それじゃ、來火くん」
來火:「はいはい」
石神井 寅彦:「もっとおれのこと助けてもらいますよ」
石神井 寅彦:腕を掴む。
來火:「ん?」そのまま掴まれる。
石神井 寅彦:にやりと笑う。古着屋の床で、彼と影が繋がる。
石神井 寅彦:瞬間、店内に香りが広がった。
來火:「……あ」
石神井 寅彦:かつて彼がいた場所、目の前の雷獣が生まれた場所。懐かしい場所の香り。
石神井 寅彦:人は、そこを空と呼ぶ。
石神井 寅彦:「あなたがいるとやりやすいの」
來火:目を細めて、その香りを嗅ぐ。その声を聞く。
來火:「そりゃよかった」
石神井 寅彦:「うん。……」謝りかけて、やめた。「ありがとね」
來火:(空気の匂い。水の匂い。電気の匂い。土の匂いはしなくて)
來火:「こちらこそ?」
石神井 寅彦:「ひひ」
石神井 寅彦:二人の繋がった影が、古着屋を縦横無尽に動き回り、雷獣の小さな影を捕まえる。
石神井 寅彦:「さっ」
石神井 寅彦:影が沸き上がり、雷獣とまったく同じ姿をした影絵が浮かび上がる。
雷獣:香りに戸惑っていたところ、逃げられようはずもない。
雷獣:「ギギ」
石神井 寅彦:「つかまえた!」
石神井 寅彦:自分に抱きしめられるかのような格好で、
石神井 寅彦:ぱくりと、影が雷獣を捕らえた。
雷獣:「ギギュッ」
雷獣:「キュー……」
雷獣:捕らえられ、目を白黒させている。
石神井 寅彦:「よっしゃ」頷く。「大丈夫だよー、もう怖くないよー」
雷獣:完全に無力化され、ただ鼻だけをすんすんと動かす。
雷獣:「……キュイ」
石神井 寅彦:近付いて、雷獣を抱き上げる。
雷獣:すんすんと石神井さんの匂いを嗅いでいる。
石神井 寅彦:《虹の香り》。自らも、空の匂いを放っている。
來火:「懐かしかったろうからなあー。びっくりした?」
雷獣:「キュー」
石神井 寅彦:「なんて言ってるの?」
來火:「『泣いてない』って」
來火:「強がりだなこいつ」
石神井 寅彦:「はは! なんだよ、ひとりで寂しかったの?」
石神井 寅彦:顎をくすぐる。
雷獣:「キュウー」
來火:「『なんだよ同情するなよ』的な感じ」《ドクタードリトル》を所持している。
來火:「だいじょぶだよ。仲間も他にいっぱいいるよ」
石神井 寅彦:「ははは」反抗されて愉快そうにしている。
石神井 寅彦:「そうだよ。地上なのにね」
石神井 寅彦:目を細める。「大丈夫だからね」
雷獣:「キュ」
來火:「『ふん』って言いながらこう」
來火:「ニュアンス的には感謝とかが入ってる感じのやつ」
來火:「伝わる?」
石神井 寅彦:「わかる」けらけら笑う。
石神井 寅彦:…通訳してるあなたにも同じ言葉を向けているんだよと、
石神井 寅彦:まあ、伝わらなくてもいいか。と思った。
バックトラック
GM:Eロイスはありません。雷獣ちゃんだから。
GM:残りロイスで帰還をお願いします。
石神井 寅彦:雷獣ちゃんがそんなもの持ってるはずないものね
石神井 寅彦:残り5個 侵蝕率119 う~~ん 1倍でいきます
石神井 寅彦:119-5d10
DoubleCross : (119-5D10) → 119-22[5,2,7,5,3] → 97
GM:うおお
石神井 寅彦:あ、あぶな
GM:ナイス判断だけど危なかった よかった
GM:帰還おめでとうございます!
石神井 寅彦:セーフセーフ!
石神井 寅彦:ありがとうございます!ただいま!
GM:さっくり経験点配布!
GM:いつもの5点、シナリオ3点、その他なし!
GM:あとは侵蝕分をプラスしてどうぞ
石神井 寅彦:侵蝕分が5点で5+8の13点!頂戴しまーす
GM:GMはこの場合、5点になるのかな
GM:めしあがれー
エンディング
【雨宿町旧市街・古着屋『ハミング』】
GM:店内は戦闘でもさほど乱れはせず、避難をしていた店員も戻ってきた。
GM:おおよそ、一時的な電気事故などのカヴァーで話は流れていくのだろう。
GM:あなたたちは改めて、すっかり落ち着いた店内にいる。
石神井 寅彦:「しかしさー」処理も引き継いだので。気楽な調子で店内を見ている。
來火:「んー?」
來火:こちらも、並んだ衣類を興味深げに眺めている。
石神井 寅彦:「私服って、來火くんが買ってるの?」
來火:「ああ、ここしばらくはそう」
石神井 寅彦:「ほー」興味深そうな顔。
來火:「喜一、寝てっからわかんないしね。最初はあっちの好みに合わせてたけど」
石神井 寅彦:「鈴掛喜一センスが流れてくるわけじゃないんだ」面白そうに返す。
來火:「『知ってる』と『身についてる』は別でしょ」
石神井 寅彦:「わかりやすい」笑って。
石神井 寅彦:「じゃ、今は來火くんセンスで選んでるのね」
石神井 寅彦:適当にトップスを手に取る。「どういうの好きなの?」
來火:「え?」
來火:手に持っているシャツを見る。
石神井 寅彦:「ん?」
來火:真っ赤で、袖口に軽く黄色い水玉の模様が入っている。
來火:「色、綺麗だなって思って」
石神井 寅彦:「………」それを見る。派手だ。
石神井 寅彦:「うん、ビビッドだね…」
來火:「いや、わかってんの。喜一的には絶対ナシだと思う」
來火:「けど、面白いのもいいじゃないすか」
石神井 寅彦:「面白いって枠なのかよ」笑いながら突っ込む。
來火:勢いのある筆文字で何やら書かれているTシャツを見る。
來火:『大三元』。
石神井 寅彦:「……」それを見る。麻雀だ。
來火:「……『日本語書いてあるやつはやめろ』って言われたんだけど」
來火:「これ中国語? アリ?」
石神井 寅彦:「え、えーーー」
石神井 寅彦:「待って、これが初じゃないのね」
石神井 寅彦:「日本語書いてあるやつ買った前例があるのね」
來火:「そうそう」
來火:「喜一、前に起きてクローゼット見たらしくて」
來火:「仕分けがしてあった。アリナシで」
石神井 寅彦:「どっち多かった?」
來火:「下はわりと許されてた」
來火:「上は……あー」
來火:「やっぱりダメかなあこれ……」悲しげにTシャツを見ている。
石神井 寅彦:「ふっ……」
石神井 寅彦:とうとう噴き出す。
石神井 寅彦:「ふっ……、ふふふふふ………ごめん無理、おもしろい……」
來火:「はっ、いや、だって」
來火:服と石神井さんを交互に見る。
石神井 寅彦:肩を震わせて笑っている。
來火:力が抜けた顔でこっちも笑う。
石神井 寅彦:「いや…いや、ごめん。ふふ。そのTシャツね」
石神井 寅彦:「先に言うと、日本でも意味通じるやつだから、鈴掛喜一的にはナシだと思う」
來火:「ギリギリ突こうと思ったんだけどな……!」
石神井 寅彦:「でも、いいじゃん」にやにや笑う。
石神井 寅彦:「買っちゃおうよ」
來火:「えー?」
來火:「ナシにされても?」
石神井 寅彦:「うん。だって」
石神井 寅彦:「おれ、來火くんの友達だもん」
石神井 寅彦:「友達の味方しちゃう」
來火:「マジか! やったー」
石神井 寅彦:「はは! それで自転車乗って走り回っちゃえ」
來火:ククク、と喉を鳴らして笑う。
石神井 寅彦:「鈴掛喜一、困るだろうな」
石神井 寅彦:こっちも笑う。「すげー見たくない?」
來火:「あー、困っちゃうか」
來火:「……見たい」
石神井 寅彦:「ははは!」
來火:「たまには、『あ、今日は謝んないのか』って顔させたい!」
來火:「そんでさ」
石神井 寅彦:「うんうん……ん?」
來火:「困るんだったらさっさと起きてきなよって」
來火:「言ってやるんだ」
石神井 寅彦:「……良い奴じゃん」
來火:「うるせー」
來火:「おれだって困ってんだよ、鈴掛喜一!」
石神井 寅彦:「言ってやれ言ってやれ」
來火:「早く起きて、そんでちゃんと」
來火:「ちゃんと、こっちで会おうって」
來火:「それまで」
來火:「それまでおれは、こういう服を買い込む!」
來火:ばさばさと、個性的な服を手元に。
石神井 寅彦:「………ん!」見守るような笑み。「よく言った!」
來火:「はは」
來火:「石神井くんのおかげ」
石神井 寅彦:「何よ、急に」
來火:「急じゃないよー」
石神井 寅彦:「やめろって。もしくはお金とるよ」
來火:「うえ、本職だ」
石神井 寅彦:「占い料。高いからね」
石神井 寅彦:「あはは! 40分6000円になりまーす」
來火:「ほんとにたっかいな……」
石神井 寅彦:「儲かってんの」言いながら、服を漁る。
來火:「……じゃ、おれはひとりで勝手に立ち直って、元気になりますよっと」
石神井 寅彦:「………」「こら」
石神井 寅彦:「そうじゃねーって」
來火:「んー?」
石神井 寅彦:「友達としてアドバイスしてあげたの」
石神井 寅彦:「ごまかしたの、恥ずかしいから」
來火:「うん」にっと笑う。
石神井 寅彦:「言わせんなよー」へらへらと笑っている。
來火:「言わせたよ」
來火:「ぜーったい食いつくと思った、ああいう言い方すりゃ」
石神井 寅彦:「……」ちょっと困ったような、面食らったような顔になる。
石神井 寅彦:「來火くん」
來火:「はいはい」
石神井 寅彦:「反抗期?」
來火:「あ、ははは!」腹を抱えて笑う。
來火:「そーかも。そーなのかも。やべー」
石神井 寅彦:マジかーって顔をしている。
來火:「触れるもの皆傷つけちゃう」
石神井 寅彦:「いやー怖い。おれもうズタズタにされちゃう」
石神井 寅彦:「………」
石神井 寅彦:「食いつくでしょそりゃ…。もう」諦めたように言って、しかたなさそうに笑う。
來火:「…………」少しだけ目を瞑り。
來火:「だってさ、喜一」
來火:「アドバイスどうも?」
石神井 寅彦:「へ?」
來火:「『お前そのカゴの中全部戻せ』だってさ!」
來火:「知らねー!」
石神井 寅彦:「なになに! 会話できないんじゃなかったの?」
來火:「たまーに、たまーに」
石神井 寅彦:「鈴掛喜一、盗み聞きしてんじゃねーって」
石神井 寅彦:「たまにー? なによ、こういう時に限ってさー」
石神井 寅彦:笑っている。「そんなの、無視だよ無視」
來火:「おうよ」
石神井 寅彦:「知らねえ知らねえ。來火くん、帽子も見よ」
來火:「お、帽子いいすね。あんまり被んない」
來火:「石神井くんは? わりと好き系?」
石神井 寅彦:「おれはねー、出掛ける時は基本キャップ被ってるよ」
來火:「見たいなそれ。結構私服だとイメージ違うんだ」
石神井 寅彦:帽子売り場まで行って、とりあえずあったキャップを被る。
石神井 寅彦:「そうなんかなー? まあスーツじゃないしね」
來火:「おれも戸神くんと私服で会ったら、『先輩ってそういうキャラじゃないでしょ!?』って言われた」
石神井 寅彦:「あはは! 想像つくなー。それ、なんて返したの」
石神井 寅彦:「こういうキャラだよって言ったの?」
來火:「『じゃあ今日からこれでー』って」
來火:「出社して作業着着てたらなんかホッとされた」
來火:「……石神井くんだったらどう返したかな」
石神井 寅彦:「おれ?」アメリカの古いカートゥーンキャラが全面にプリントされた帽子を見つける。
石神井 寅彦:來火くんに渡す。
石神井 寅彦:「なんて言うかなあ。でも、うまく誤魔化せばいいってことでもない気がする」
石神井 寅彦:「トガちゃんにさ、じゃあ、ちょっとはバレてたのかもね」
石神井 寅彦:「鈴掛先輩が、ちょっと先輩じゃないところもある、みたいな」
來火:「そうかもなー。そうかも」
石神井 寅彦:「良かったんじゃない?」
石神井 寅彦:「來火くんが受け入れてもらえるってことじゃない」
石神井 寅彦:ハイブランドの材質の良いキャップを見つける。戻す。
來火:(あ、答えスルーしたな……)と思いながら聞いている。
來火:「ならいいすけどね」
石神井 寅彦:飲料会社のブランドロゴがド派手にプリントされているキャップ。來火くんに渡す。
來火:「お」
石神井 寅彦:「これどう?」
來火:「あ、いいな。目立ちそう」
來火:「さっきのシャツと合わせたい。赤で」
石神井 寅彦:「ブッ」
石神井 寅彦:笑う。「……ヤバ…」
來火:「えー?」キャップをくるくる回している。
石神井 寅彦:「いや、超褒めてっから。そうしよそうしよ」
來火:「いや、でもちゃんと学んだよ。他はモノトーンにしてー」
來火:いろいろと思い出すようにしながら、キャップをすとんと被った。
來火:「で、赤」
石神井 寅彦:「ふ」
石神井 寅彦:「その格好で、トガちゃんに会ったら、なんて言うかな」
來火:「『え、あの、すいません。一瞬他人の振りをしかけました……』とか言うよ、あいつ」
石神井 寅彦:「っはは!」
石神井 寅彦:「いいね。トガちゃん、いつも通りじゃん」
石神井 寅彦:「そっか。良かったです」
來火:「良かったですか」
來火:「良かったかもね!」
來火:キャップを脱いで、石神井さんの頭に乗せる。
石神井 寅彦:乗せられる。
來火:「ははは、似合う似合う」
石神井 寅彦:「やめてよー、似合っちゃうでしょ」
石神井 寅彦:「ねー」へらへら笑う。
石神井 寅彦:「來火くんさ」
來火:「ん」
石神井 寅彦:「おれ、たぶん、毎回聞くよ。なんて呼ばれたいか」
石神井 寅彦:「そん時の気分で、好きに答えて」
來火:「…………」
來火:「了解。そゆことで」
石神井 寅彦:「ふふ」
石神井 寅彦:「冷たいって思った?」
來火:「なんで?」
石神井 寅彦:「間があったから」
來火:「おれの名前を呼んでくれる人に、おれが冷たいだなんて思うはずがない」
石神井 寅彦:「………」
來火:「ちょっと考えたのはね」
石神井 寅彦:「うん」
來火:「嬉しかったからだよ」
來火:「そんだけ!」
石神井 寅彦:「あら」
石神井 寅彦:「そっか。それは分からなかったなあ」
石神井 寅彦:「ふふ。おれとしたことがね」
石神井 寅彦:どことなく嬉しそうにつぶやいて、
石神井 寅彦:友達の反応を試すために、また派手な帽子を探す。
石神井 寅彦:來火くん、と、確かめるように名前を呼んだ。
『リプレイ・ドロップ 雨宿町後追〜稲妻をつかまえて〜その2・ハミングにて』了